cineXtools, cineXplugins 導入事例
4Kファイルベースワークフローに携わるすべてのスタッフために
時間的負担を軽減し、快適な労働環境を整備
レスパスビジョン株式会社は、渋谷区にスタジオを構え、主に映画・CM・音楽コンテンツなどの制作を手掛けるビデオポストプロダクションだ。ビデオ編集や納品形態が4Kファイルベースへと移行する中で、徐々に大きくなっていった従業員への時間的負担の改善を図るべく、2019年にcineXtools、cineXplugin(以下「cineX」)を導入した。
今回は、社内インフラ整備やワークフローの構築を担う久保江 陽介氏、エディター 林 信尊氏、MA エンジニア 市原 寿喜氏に話を伺った
試写後の修正〜書き出しにかかる「時間」が大きな問題に
2016年より4K番組の試験放送が始まり、2018年12月1日から順次実用放送が始まった。HDマスターにおいてもこれまで主流であったVTRからファイルへと納品形態が移行しつつある、まさに過渡期の真っ只中である2019年に、レスパスビジョンでは大きな問題を抱えていた。
久保江氏「弊社では、音楽ビデオなど長尺ものを扱うことが多いのですが、cineX導入前、実は4Kで3〜4時間尺の作品を扱っているとアシスタントが『帰れない』という大きな問題を抱えていました。
導入前はMAと編集が1秒差し替えるだけでも、全編書き出し直しをする必要があったんです。たとえば3時間の作品であれば、試写終わりに修正の依頼を受けて作業をし、結局書き出すのは夜中になってしまいます。
テレビ番組・MV・CM等、さまざまなジャンルの作品がレスパスビジョンには持ち込まれているが、そのほとんどが、あらかじめ予算と納期が決まった状態で進行している。クライアントである制作会社が、最終確認の試写終わりで新たな修正箇所を発見し、修正の依頼を出すことはよくあることだというが、4Kファイルベース納品に移行したことで、作業にかかる時間が増大していた。このように切迫した問題に直面し、スタッフの負担の解消を図るために、効率的なワークフローの構築を急ぐ必要があったのだ。
久保江 陽介氏:Production Pipeline Architect System/R&D Manager - 以前はCGや編集を担当し、現在は、社内で生じるテクニカルやワークフローに関する問題の解消、環境整備を担う。さらに3Dスキャン等、新製品へのアプローチ・検証なども積極的に行っている
導入当初からMAでフル稼働
MAと編集との連携も負担なくスムーズに
久保江「大手制作会社がcineXをすでに導入していたということもあって、検証用の最初の1ライセンスをすぐに購入しました。VTRと同じくマスター納品に関わる製品については特に厳密な検証をした上で運用を開始していくわけですが、検証上問題なしということになって現在に至っています。」
市原氏「MAでもcineXを導入してすぐに音の検証を入念に行いました。問題ないことが確認できたので、導入当初からフルで使っています。」
さらに、市原氏は導入当時アシスタントだったため、導入によって実現された作業時間短縮の恩恵を大きく受けたうちの一人だとも語ってくれた。
市原「今まで、最終プレビューがMAだった場合、MAで直しが入ってしまうとMAからWAVEファイルを書き出し直し、編集の手を止めてマスターファイルを出し直してもらい、さらにそのあとにクオリティチェックをしなければいけないという…後ろに控えている作業に負担をすごくかけてしまう心苦しさがあったんです。ですが、cineXはQuickTimeの音声トラックのみを差し替え可能で、MAから最終データが出せるため気持ち的にもすごく楽になりました。
音データは、映像に比べ容量も軽く負担なく扱えるため、編集でもMAでも音の差し替えができ、またそのインサート後の確認作業も簡単に行えるフローができあがっています。」
林 信尊氏:大手制作会社での編集経験を活かし、主に納品物の管理やデータチェックを行っている。若手編集者の指導やアドバイスなど社内人材育成も担う
市原 寿喜氏:MA エンジニア - cineX tools導入時はアシスタントとして在籍していたが、現在はMA作業に加え、新人教育やワークフローの整備を担当
完パケだけでなく確認作業の時間短縮にも
林氏「最終データをプレビューしている時に修正が入った場合、必要な箇所だけ差し替えられるのも良いことですが、直したところだけを再生プレビューできるというのが実はすごくいいんですよ。
全編見なくても、繋いだ前後を少し入れて見るだけで修正箇所の確認ができるので、確認作業の短縮にも繋がっています。」
久保江「修正のたび都度書き出しての修正を行っていた時は、納品用マスターQTの全編チェック対応にかなり負担がかかっていました。現在は納品後に差し替え依頼がきた場合であっても、短時間で対応可能になったのは、cineX導入のおかげですね。」
cineXtools、cineX Pluginsを導入し、長尺HD/4K編集環境でインサート編集が可能になったことにより、スタッフの負担を解消し快適な環境を整備しただけでなく、編集とMAとの連携も楽になり、さらに作業効率が上がっているようだ。
たとえば、クライアントから提供された音声がマルチモノ形式だった場合、インターリーブ形式への変換が簡単にできることで、編集からMAへ音声データをそのまま渡せるようになったという。
レスパスビジョンでは、導入から現在に至るまで計3ライセンスを保有しているが、将来的には各部屋への設置を予定しているという。4K8Kのファイルベース環境において、VTRライクなインサート編集を可能にしたcineXtools、cineX Pluginsは、今後も編集者たちを支え、よりよい労働環境を構築するために一役を担い続けるだろう。
cineXtools
ノンリニア編集で完成したファイルを出力後にリテイク作業が発生した場合、一度書き出したファイルに直接インサート編集を可能とするスタンドアローン・アプリケーションソフトウェア。編集ワークフローの軽減を加速し、費用削減と時間の短縮を可能にします。